Page 19 - 会報「窓快14号」
P. 19

       2住宅性能表示の上位等級設定
1.JIS A 4706の改正
 JIS A 4706に規定されるサッシに要求される性能項目が2021年2月 に下図の通り変更になりました。近年、開口部に求められる断熱性能が 向上していることから「断熱性」に2つの上位等級が追加され、また、住 宅の省エネ性能は断熱性能のほか日射による熱収支も大きく係わること
から「日射熱取得性」の項目が新設されました。
 具体的には、断熱性ではH-7(U値1.5W/(m2・K))とH-8(U値1.1W/ (m2・K))が追加され、日射熱取得性では、日射熱取得率(η値)をN-1 (η値1.00以下)からN-3(η値0.35以下)までの3つの等級で示すこと になりました。日射熱取得性は断熱性と同様に建物の一次エネルギー消 費量の削減に寄与します。夏期は日射熱を遮ることで冷房負荷を削減し、冬期は日射熱を室内に取り入れることで暖房負荷 を削減します。お住まいの地域に合わせて、断熱性と日射熱取得性をバランスよく考えることが重要になります。
2.住宅性能表示制度の上位等級   創設
   JIS等級
日射熱取得率
 JIS等級
熱貫流率(U値)
H-1 4.7W/(m²・K)以下
H-2 4.1W/(m²・K)以下
H-3 3.5W/(m²・K)以下
H-4 2.9W/(m²・K)以下
H-5 2.3W/(m²・K)以下
H-6 1.9W/(m²・K)以下
H-7 1.5W/(m²・K)以下 追加
H-8 1.1W/(m²・K)以下
N-1 1.00以下 N-2 0.50以下 N-3 0.35以下
      新設
                          国土交通省において住宅性能表示
制度における省エネ性能に係る上位
等級が検討され、基準が改正されつつ
あります。従来、断熱等性能等級は等
級1~等級4までが設定されていまし
た。2020年10月の「2050年カーボン
ニュートラル宣言」を受けて脱炭素社
会に向けた住宅・建築物のあり方が検
討され、省エネ基準を上回る等級5が
2021年12月に公布、2022年4月に施
行されました。さらに続けて、2022年
3月にはZEH基準を上回る更なる上位
等級として等級6と等級7が公布され、
2022年10月に施行される見込みです。
なお、等級6と等級7は戸建住宅のみに設定されます。
 断熱等性能等級は外皮平均熱貫流率(UA 値)と冷房期の平均日射熱取得率(ηAC 値)で評価されます。断熱等性能等級とZEH 基準、民間基準(HEAT20)のそれぞれの関係と、各地域区分に対応する基準は右表の通りとなります。  では、サッシの仕様は具体的にどのようになるのでしょうか。参考に、国土交通省から戸建住宅の断熱仕様の例として6 地域(東京等)を例に示されている資料が右表になります。等級5ではアルミ樹脂複合製サッシとLow-E複層ガラス(空気層 10mm)を組み合わせた窓、等級6では樹脂製サッシとLow-E複層ガラス(ガス層12mm)を組み合わせた窓、等級7では樹脂 製サッシとダブルLow-E三層複層ガラス(ガス層9mm)を組み合わせた窓がイメージされています。
                                                          3.今後のサッシ業界に   求められる役割
 JIS等級の追加や住宅性能表 示制度における断熱等性能等 級の上位等級創設に見られま すように、開口部の省エネ性能 の向上は社会的な要求となり、 工務店様やお施主様の関心が より高まることが想定されま す。2020年10月は私たちサッ シ業界においてもターニング ポイントであり、脱炭素社会へ の流れはますます加速していき ます。住宅サッシ・防火戸取扱 い事業所様におかれましても 受け身の対応だけではなく、こ のような背景をご理解いただ き、住まいの性能向上に寄与す るサッシの提案に努めていた だけますと幸いです。
国交省「住宅性能表示制度における ZEH 水準を上回る等級について」(案)
戸建住宅の断熱仕様の例(6地域・東京等)
国交省「住宅性能表示制度における ZEH 水準を上回る等級について」(案)
                                                                                         - 17 -
  
























































   17   18   19   20   21