Page 18 - 会報「窓快14号」
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省エネに関する動向
   1省エネの推進
 政府の2050年「カーボンニュートラル」宣言を受けて、国土交通省、経済産業省、環境省の3省合同で脱炭素社会の実現 に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方・進め方が検討され、そのとりまとめが2021年8月に公表されました。
 適合義務化や基準の引上げ等の省エネルギー対策や再生可能エネルギーの導入拡大、CO2の吸収源対策(木材の利用拡 大)等について、今後の取組の基本的な考え方や、その進め方等が示されていますので、そのポイントをご紹介します。
1.2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取組の基本的な考え方
 2050年に向けて、省エネルギー性能の 確保・向上による省エネルギーの徹底と再 生可能エネルギーの導入拡大が基本方針と なっており、2050年および2030年に目指 すべき住宅・建築物の姿(あり方)が示さ れました。
2050年に目指すべき住宅・建築物の姿
省エネ:ストック平均でZEH・ZEB基準の省エネ性能が確保される 再エネ:住宅・建築物における太陽光発電設備等の導入が一般的となる
2030年に目指すべき住宅・建築物の姿
省エネ:新築ではZEH・ZEB基準の省エネ性能が確保される 再エネ:新築戸建住宅の6割で太陽光発電設備が導入される
      2.2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取組の進め方
 「I.省エネ対策の強化」「II.再生可能エネルギーの導入拡大」「III.木材利用の拡大」のそれぞれについて、具体的な 進め方があげられています。2025年度にはいよいよ省エネ基準の適合義務化、2030年度までには義務化された省エネ基 準のZEH・ZEB水準への引き上げが明記されています。  Iの4に「建材トップランナー制度の強化」がありますが、実際に昨年より経済産業省の方でサッシとガラス、断熱材の建 材トップランナー制度の目標年度、目標基準等の見直しが検討されており、2030年度を新たな目標年度とする住宅の高性能 化に沿った高い目標設定となる見込みです。
I.住宅・建築物における省エネ対策の強化
  項目
主な取組内容
     1省エネ性能の底上げ(ボトムアップ)
・住宅:省エネ基準への適合義務化(2025 年度) ・新築に対する支援措置:省エネ基準適合の要件化 ・大規模建築物から省エネ基準の段階的に引上げ
・遅くとも 2030 年までに義務化された省エネ基準を ZEH・ZEB 水準に引上げ
   2省エネ性能のボリュームゾーンの  レベルアップ
・長期優良住宅等の認定基準を ZEH・ZEB 水準に引上げ ・国、地方自治体等の新築建築物・住宅について誘導基準の原則化 ・住宅トップランナー制度の充実・強化  (分譲マンションの追加、トップランナー基準の ZEH 相当への引上げ)
  3より高い省エネ性能を実現する  トップアップの取組
 4機器・建材トップランナー制度の強化 等による機器・建材の性能向上
 5省エネ性能表示の取組
 6既存ストック対策としての省エネ改修 のあり方・進め方
       II.再生可能エネルギーの導入拡大
III.木材利用の拡大
・ZEH+ や LCCM 住宅等の取組の促進 ・住宅性能表示制度の上位等級として多段階の断熱性能を設定
・建材トップランナー制度(サッシ、ガラス、断熱材)の目標年度、目標基準等の 見直し
・新築の販売・賃貸の広告等における省エネ性能表示の義務付けを目指す
・国、地方自治体等の建築物・住宅の計画的な省エネ改修の促進 ・耐震改修と合わせた省エネ改修の促進や建替えの誘導 ・窓改修や部分改修等の省エネ改修の促進
・太陽熱利用設備等の利用拡大 ・複数棟のエネルギーの面的な利用・融通等
  項目
主な取組内容
     1 太陽光発電の活用
・太陽光発電設備の設置の義務化も選択肢の一つ ・国や地方自治体の率先した取組(新築における標準化等) ・ZEH・ZEB 等の補助の継続・充実、融資・税制による支援等 ・技術開発と蓄電池を含めた一層の低コスト化
  2その他 再生可能・未利用エネルギー の活用
     ・建築基準の更なる合理化 ・民間の非住宅建築物や中高層住宅における木造化の推進 ・公共建築物における率先した木造化・木質化の取組 ・木材の安定的な確保の実現に向けた体制整備
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